知識を入れるのは程々に~私がお酒の薀蓄やライブのセトリが覚えられない理由

私は、美味しいお酒を飲んだときに、その銘柄や薀蓄を覚えたりすることが苦手。楽しいライブに行ったときも、セトリを覚えていることはほとんどありません。

薀蓄,筆文字,書道,習字教室

↑仕事柄、「おー、この字面かっこいい!」という理由だけで書きました。他意はありません。

 

私の場合「いま目の前に起こっていることを五感にフルで感じる」ことに集中していると、だいたい語彙力って無くなっていくもので、あとでその出来事を振り返っても、

「あー、美味しかったなぁ」
「あー、楽しかったなぁ」
「あー、幸せだったなぁ」

という感覚しか残ってません。

でも、その感覚が残っていたら大満足なので、ワインや日本酒の銘柄とか産地とか味とか、ライブだったらどの順番でどの曲をやったか…とか、実際には覚えていません…というか覚える余力がありません。それほど私は器用じゃない。

(ワインの場合は、私が、教科書に出て来る哲学者や皇帝の区別がつかなくて世界史に挫折したくらいの「カタカナ」アレルギー持ちということに起因している可能性も大。)

物事の楽しみ方は人それぞれだと思うのですが、私の場合は、

自分はその場で楽しむことに全力を尽くす。
その場で(または後で)何か情報を補完したいときは、プロに委ねる。

知識を入れておくのに越したことはないこともあるだろうけど、頭がいっぱいになると、心から楽しむ余裕がどこかに行ってしまう気がする…というのも少しある。

そう。だから、撮影OKのライブに行ったとしても、実際には撮らないことが多いです。せっかく目の前に本人いるのに、何でファインダー越しで見ちゃってるんだろう、ここで肉眼で見なくてどうする…もったいない…と思ってしまったり。そもそも自分で撮ったものはクオリティも低いので、後で見た試しがない。

いくらスマホについているカメラの画質が上がったからとはいえ、プロのカメラマンが撮影した公式写真や映像は、その場の興奮や独特の空気感を蘇らせる力があるから、あとでSNSなどで写真や映像を見ると、その場の興奮や臨場感を見事に切り出していて感激したりするわけです。

 

また、お酒を飲む場合。
私は特定の銘柄の好みもない(というか何度聞いても覚えられない)ので、「甘い」「辛い」「スッキリ」「パンチが効いてる」くらいの選択肢から、その時の気分で組み合わせて頼みます。ここでも自分の語彙力のなさにへこむのだけど…。

こういうオーダーのしかたが正解かは分からないけど、そんな語彙力の中でも「これ美味しい!」というものを見つけられるのは楽しいし、繰り返し行ったお店で「これは、好き」「これは、あまり好きではない(もしくはどっちでもいい)」のストックがたまっていくと、こちらが好みを多くを語らずとも、お店の方が自分に合ったものを提供してくださったりする。

これぞプロ!とうなってしまうのです。本当にありがたいこと。

 

私のような仕事もそうだけど、あるジャンルに対して持っている知識や技術は基本的には一緒。でも、そこから先に何を見せられるかが、プロとしての腕の見せどころでもある。

だからこそ、提供する側は、日々の勉強は怠ってはいけないし、自分が活動するジャンル以外の分野の見聞や体験を積み重ねて、自分なりの色づけをしていく(=オリジナルを作る)必要があると思っています。

 

…が、これはあくまでも、自分が提供する側の話。

バーなんかで、

男「このワインはね、○○○産の×××で#%&$!*+@なんだよ」
女「わー、ステキっ!!(ハート)」

みたいに、男が悦に入っている場面を何度か見たことがあるけれど、(評論家やそれ相応の資格を持っていたり生業としている人以外は)ほんとに見ているこちらがツラい。

こういう会話の中で、その味が「好きかどうか」を語るのは全然気にならないんです。でも「知っているかどうか」の知識ひけらかし系は見ていて本当にツラい、イタい。

目の前にいるプロであるお店の人に失礼、お客さんがそれをやっちゃいかんよ、と。
こういう時こそ、プロであるマスターやバーテンさんなどと上手くコミュニケーションを取りながら、新しい情報を入れていく方が数段スマートだと思うんだけどなぁ。

あ、数ヶ月前には、大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」のおかげで「クイーン大好き」の年輩者が、映画を見てクイーンの音楽を聴くようになった若い子をマウンティングしている場面にも、飲み屋で何度か遭遇。

特に、年長者で自分の得意ジャンルを持っている人は、ついそうなりがちだから気をつけたい。自戒も込めて。

物事を知っているか(=知識)も大事だし、それによって楽しみが増えることも実際にあるけど、他の人から見聞きしたことや受け売りではなく、目の前で起きているその瞬間瞬間の体や心が躍る感覚も大事にしたい。自分が味わった体験だけが本当の情報だし、それにかなうものはないから。

「あの時のアレ、美味しかった!」
「ほら、ライブの終盤、あれ、ブワーッと来た!良かった!」

で、いいじゃないか。

ほとんどの会話を「アレ」とか「ソレ」で済ませようとするのは、加齢による現象の一つだというのも分かってるんですが(苦笑)
私がそんな発言をしている場面に出くわしたら「あー、この人幸せなんだな…」と、生温かく見守っていただけたら幸いです。

「MUST」ではなく「WANT」で動く

今日は、書道のはな*みち主催の「書道のお仕事説明会」に、ゲスト講師としてお招きいただき、今の仕事を始めた経緯、今のスタイルで仕事するためにどんな施策をしているか等々…お話してきました。

私は、書道を仕事にするのにあたり、当初から「レッスン」と「創作」両輪でやっていきたいという思いを抱いていましたが、今は特に以下の3つを意識しつつ、その両輪を動かしています。

1.好きなことからブレない(「MUST」ではなく「WANT」で動く)
2. 「書道」の枠の中でも、自分が心地よい仕事・得意な仕事へ絞り込んでいく
3.色んなところに面白がって種まきをする(各種SNS、リアル)

1.2.に関しては、ありがたいことに「こういう人に来てほしいなぁ」と思う方々が生徒さんとしていらっしゃっていますし、特に筆文字を書くお仕事では、就活時代に憧れていた業界の方とお仕事をする機会が得られるようになってきました。

3.に至っては、つい先日、Twitterでぽろっとしたツイートが、その日のうちに以下のニュースサイトに取り上げられるということもありました。

News Up  嵐と“オトナの思春期”NHK NEWS WEBより

Twitterの話に限らず「あさがおの種をまいたつもりなのに、ひまわりの花が咲いた!」というような、ビックリすることも日々の仕事ではままありますが、結果として自分にとっては全て良し!と思って対応しています。

正直なところ、私の現在地は、その両輪は競輪選手が漕ぐ自転車のようにビュンビュンにフル回転!というよりは、子供が補助輪なしでやっと自転車に乗れた!というイメージなので、「お前、まだまだ行けるやろ!」というジレンマも多々ありますが、道筋としてはこのままで大丈夫!という気持ちを持ちながら、日々精進しています。

そんな自分の現在地を確認する意味でも、今日の説明会はとても有意義なものでした。お招きくださった高宮先生、ありがとうございます。

説明会の様子は、主宰の高宮華子先生のブログで、詳細をご覧いただけます。

2月17日(日)の回は若干お席があるようなので、ご興味ある方はぜひエントリーを!