『ひ』が上手に書けないのは『ひょうきん族』のせいなのか検証してみた

当教室の趣味・実用コースでは『ひらがな』に取り組んでいる生徒さんが非常に多いです。

文章を書くときに、ひらがなは文章全体の7割程度を占めるとも言われています。…ということは、漢字が多少アレでも、ひらがなをマスターすれば、手紙や文書全体の見た目が格段にアップするのです。

生徒さんは毎回、半紙に『いろはにほへと…』を小筆で練習して字形を把握し、形を覚えたら、連綿線(れんめんせん)が入った続け字を書く練習をします。

連綿線とは、文字と文字を結ぶ線のこと。
最近では、中谷美紀さんの結婚報告の達筆ぶりが話題になりましたが、あの文章で多く使われているのが連綿線。冒頭の『謹んで』の『ん』と『で』が繋がっていますよね?これが連綿線です。

本題に戻って…。

先日のレッスンで「ひ」を書くとどうしても縦長にベローンと伸びてしまうという生徒さんが、

「私が『ひ』を上手く書けないのは、小さい頃『ひょうきん族』を見すぎたせいだと思うんです!」

と真顔で言い出しました。

こちらが生徒さんが書いた『ひ』↓

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私も「オレたちひょうきん族」は毎週見ていました。当時、我が地元岩手県には民放が2チャンネルしかなく、1週遅れの土曜日夕方に放送してたっけ。(だから「8時だヨ!全員集合」との裏番組かぶりが無かった!)

タケちゃんマンとか、ブラックデビルとか、アダモチャンとか、ホタテのロックンロールとか懐かしい…。

番組ロゴも、フジテレビらしいポップな書体で、たしかに、特に強調された『ひ』が印象的でした。

…にしても。さすがに「そんなことはないでしょ!」と思いながらも、ネットに出ていた番組ロゴ画像を模写して…。

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本当に似ているのか検証してみました。

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「ほんまや!」と明石家さんま風に言いたいところだけど、そこまでは行かないか…。
生徒さんが書いた『ひ』と、番組ロゴの『ひ』は、左右対称感はあるものの、どちらも下にベローンと伸びていて、確かに生徒さんがひょうきん族のせいにするのも分からなくもない。

ひょうきん族の『ひ』になってしまうのは、下の部分がボテッとしてしまうのが原因。
ポイントは、下に向かってふくらむように書いて、一番下で一旦休む。
その後は上に跳ね上げるように早めにペンを動かしてあげると、形が上手くまとまります。

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私が思う『ひ』の見た目は、バナナの皮をむいて逆さにしたイメージです。

シュッとした『ひ』を目指して頑張りましょう!

 

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美しきおひとり様、小野小町の歌を書く

今日は、しら珠の手習い「ひらがなで美しく書く百人一首講座」第1回。記念すべき初回は、小野小町。桜が散ったばかりの東京の今にぴったりな句を選びました。

 

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

 

桜の花が散って色あせていく姿と、自分の容姿の衰えを重ね合わせ、その憂いやむなしさを詠んだ歌です。

この句は、「修辞法」「掛詞」などが使われているのですが、

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※あー、古典の授業で習った!懐かしい!

 

何よりこの句がすごいのは、「自分のことを桜の花の美しさに例える自信」に尽きます。その自信、欲しい…。

小野小町の美しさがどのようなものだったのか、本当のところは謎で(30年位前の男性の「ソース顔」「しょうゆ顔」じゃないけど、時代によっても顔の美しさはトレンドもありますし)、平安時代は、歌が詠めるのが大事なモテ要素だったと言われています。

六歌仙の中での唯一の女性であった、人気歌人の小野小町が貴族社会の中でモテたのは当然なんでしょう。

 

というようなお話をしながら、次はひらがなの書き方の説明へ。今月のお手本はこちら。

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ひらがなはくずし過ぎず、実用的な場面で有効活用できるように、3~4ヶ所の連綿線のポイントを入れたお手本をご用意しています。

もし、連綿線美しい本格的な「かな」にチャレンジしたい方は、こちらのお手本もご用意。

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花の以ろ八 雲つり二介里奈 い多つら耳 和可美与二ふる 難可面せし万二

 

ここでちょっと寄り道。
この仮名は「変体仮名」を使っています。お蕎麦屋さんやうなぎ屋さんの読めない字、見たことありませんか?あれです。

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今は、一音で一字のひらがなが充てられていますが、昔は、一音で複数の字が仮名として使われていました。
例えば、今使われている「あ」は「安」が変形したものですが、昔は「阿」「悪」「愛」などが元になった「あ」もあったのです。

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ということで、本編に戻ります。

かなは、縦の線を美しく書くのがポイントなので、「の」「り」を繰り返す書く練習で、筆慣らしをします。

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コツは、肘を引きながら書くこと。

その後、いよいよお手本を見ながら練習です。

最初は、細い線をおそるおそる書いていた参加者の皆さん。徐々に書くスピードが上がり、リズム感も良くなっています。

おっかなびっくりでゆっくり書いていると、集中力が持たなくなり、下の句を書く頃には力尽きてしまったり、縦書きの流れが滞ってしまうので、ある程度のスピード感とリズム感はとても大事なんです。

かなに果敢にチャレンジしてくださった参加者の方も。

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初めてとは思えない、線の太細の表現!素晴らしいです!

・表現の幅が広いのが楽しい
・線が硬くなりがちなので、女性らしいしなやかな表現が出来るようになりたい
・変体仮名のことがもっと知りたい

などのご感想をいただいた今回の講座。

次回は、5月12日(土)13時~開催いたします。「小筆持って字を書くなんて何年もやってないわ…」という方も、筆の持ち方から指導いたしますので、安心してご参加いただけます。
お申し込み・お問い合わせは、こちらからどうぞ!