今日は、しら珠の手習い「ひらがなで美しく書く百人一首講座」第1回。記念すべき初回は、小野小町。桜が散ったばかりの東京の今にぴったりな句を選びました。
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
桜の花が散って色あせていく姿と、自分の容姿の衰えを重ね合わせ、その憂いやむなしさを詠んだ歌です。
この句は、「修辞法」「掛詞」などが使われているのですが、
※あー、古典の授業で習った!懐かしい!
何よりこの句がすごいのは、「自分のことを桜の花の美しさに例える自信」に尽きます。その自信、欲しい…。
小野小町の美しさがどのようなものだったのか、本当のところは謎で(30年位前の男性の「ソース顔」「しょうゆ顔」じゃないけど、時代によっても顔の美しさはトレンドもありますし)、平安時代は、歌が詠めるのが大事なモテ要素だったと言われています。
六歌仙の中での唯一の女性であった、人気歌人の小野小町が貴族社会の中でモテたのは当然なんでしょう。
というようなお話をしながら、次はひらがなの書き方の説明へ。今月のお手本はこちら。
ひらがなはくずし過ぎず、実用的な場面で有効活用できるように、3~4ヶ所の連綿線のポイントを入れたお手本をご用意しています。
もし、連綿線美しい本格的な「かな」にチャレンジしたい方は、こちらのお手本もご用意。
花の以ろ八 雲つり二介里奈 い多つら耳 和可美与二ふる 難可面せし万二
ここでちょっと寄り道。
この仮名は「変体仮名」を使っています。お蕎麦屋さんやうなぎ屋さんの読めない字、見たことありませんか?あれです。
今は、一音で一字のひらがなが充てられていますが、昔は、一音で複数の字が仮名として使われていました。
例えば、今使われている「あ」は「安」が変形したものですが、昔は「阿」「悪」「愛」などが元になった「あ」もあったのです。
ということで、本編に戻ります。
かなは、縦の線を美しく書くのがポイントなので、「の」「り」を繰り返す書く練習で、筆慣らしをします。
コツは、肘を引きながら書くこと。
その後、いよいよお手本を見ながら練習です。
最初は、細い線をおそるおそる書いていた参加者の皆さん。徐々に書くスピードが上がり、リズム感も良くなっています。
おっかなびっくりでゆっくり書いていると、集中力が持たなくなり、下の句を書く頃には力尽きてしまったり、縦書きの流れが滞ってしまうので、ある程度のスピード感とリズム感はとても大事なんです。
かなに果敢にチャレンジしてくださった参加者の方も。
初めてとは思えない、線の太細の表現!素晴らしいです!
・表現の幅が広いのが楽しい
・線が硬くなりがちなので、女性らしいしなやかな表現が出来るようになりたい
・変体仮名のことがもっと知りたい
などのご感想をいただいた今回の講座。
次回は、5月12日(土)13時~開催いたします。「小筆持って字を書くなんて何年もやってないわ…」という方も、筆の持ち方から指導いたしますので、安心してご参加いただけます。
お申し込み・お問い合わせは、こちらからどうぞ!