Facebookでお友達がシェアしているのを見て初めて知った、滋賀県にある障害者施設「やまなみ工房」。
スマホの画面を見ただけでも作品の熱量に圧倒され、先月は、アーツ千代田3331のアートフェアで作品を拝見し…。
昨日は、彼らの創作の様子や日常を追ったドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」の観賞会&トークショーで六本木へ。
表現を生業とする者として、また、放課後等デイサービスでの指導に関わる者として、作品が作られる過程やアーティスト(入所者)とスタッフとの関わり方が気になっていました。
映画で終始映し出されていた彼らは、無理なく自然な形で、アートを通じて自分自身を存分に幸福感で満たしているようでした。幸せそうな笑顔が印象的だったなぁ…。
お腹が空いたからご飯を食べる、用を足したいからトイレに行く…というように、創作作業がごくごく普通の生理現象の一つとして組み込まれている。
彼らにとって、表現することは生きるために必要不可欠なんだけど、のどから手が出るほど欲するものというよりは、空気のように「あって当然」という、とてもシンプルなものに捉えているように見えました。
映画が終わってからのトークショーでは、笠谷圭見監督と施設長の山下完和さんが登場。
世の中一般的な社会福祉のイメージとはかけ離れた、ロックバンドのボーカリストとギタリストによるトークショー的な雰囲気が漂っていますが、左側が笠谷監督で、右側が山下さん。
発言の一つ一つは、まさに風貌通り(!)ロックで、面白くて、力みがなくて、超!超!カッコ良かったです。
トークショーでは、アウトサイダーアートというジャンルが注目され、海外からも評価されている今、社会への貢献や還元という意味で、作品のマネタイズも重要なのでは?という質問も投げかけられていましたが、
自分の世界を作ること、一日を幸せに穏やかに過ごせるか…ということを常に考えているというお話をされていました。
彼らの熱量と緻密さにあふれる作品の数々は圧倒的なパワーを放っていて、今は海外のアート市場でも人気を博していますが、当の本人たちは完成した瞬間に全く興味がなくなるんだそう。
彼らは、周りの評判はどこ吹く風。
ただ作りたいから作る。それだけ。
モノづくりに対する最強の姿勢を見せつけられて、ただただ脱帽するばかりでした。
鎌江和美さんの作品「まさとさん」 施設長の山下さんを想う気持ちを表現している。
あぁ、私はいかに先入観や思い込みに翻弄されながら生活しているんだろう…。
表現するのにあたって、脱がなければならない鎧がまだまだたくさんあるじゃん?色んな出来事に対して、あるいは人に対して、余計なフィルターをかけすぎてない?前例や他人の価値観に捉われず物事をゼロベースで考えられてる?などなど…色んなことを考えさせられています。
ただ、考えることも重要だけど、考えすぎて「あれ、私何がしたかったんだっけ!?」と、本質を見失わないように。物事はシンプルに捉えよう。
・誰が何と言おうと、自分がやりたいことをやり続ける
・自分が高まることに集中する
・自分が常に幸せな方向に向かっているか、心の声を聞く
などなど、本当に多くの学びがありました。
一方で、やまなみ工房でライブをやった向井秀徳さんが、アーティストが「完成した作品に興味がなくなる」という事実を受けて、「好きな音楽をする…の先には「おねーちゃんにモテたい」がある」という類の発言にも納得。表現した先に何らかの欲求があるのは当然だと思う。それが表現のモチベーションだっていいじゃないか。人間だもの。
「アート」とか「福祉」とか「障害者」などという括りは関係なく、自分を表現するとは?という本質が見られるので、おすすめです。
上映スケジュールはこちら。
関東は、渋谷のシアター・イメージフォーラムにて4月20日(土)から公開です。
会場で、山際正己さんの作品「正己地蔵」が販売されていたのですが、
たくさんのお地蔵さんの中から、二人お迎えしました。
一人だと寂しそうに見えたんだよね。二人いると何だか安心する(^_^)