気持ちがコントロールできれば、筆のコントロールもできる

毛筆のレッスンをしていると、同じお手本でも様々な書き方をする生徒さんがいらっしゃいます。

「字は心の表れ」と言われていたり、筆跡鑑定というジャンルが存在しているように、書いた字には、その人本来の性格や、その時々の調子・気分が存分に反映されるもの。

「今、○○な気持ちで書いてませんでした?」と問いかけると、
「あれ?バレました?」

という返事が生徒さんから返ってくるのがほとんど。それだけ、字から読み取れる情報は多く、その時の心理状況や性格的なものも意外と当たっていたりします。

これが「え?先生、占い師なの?」とか言われてしまう所以なのですが、
(占い師疑惑のエピソードは、以前の記事「気持ちが収まると字が収まる」をご覧ください)
今回は、生徒さんが書いた字や、生徒さんとの会話を通じて感じた、心理状況や性格的な特徴を挙げてみました。

自分に集中して字を書くことを通じて、自分の意外な一面が発見出来たり、普段の生活でより意識を向けた方が良いポイントが見えてくるかもしれません。

 

■後半に行くにしたがって、字が小さくなりメリハリがなくなる


スタートダッシュは良いものの、後半失速するタイプ。瞬発力は高いのに力の配分が上手くいかず、早い段階で力を使い切ってしまって、後半どうでもいいや…と思ってしまうことも。息を止めてゆっくり時間をかけすぎて書いている可能性もあります。書く時はリズム感とスピード感を大切に。

 

■最初は字が小さめだが、尻上がりに字のバランスが良くなる


スロースターター。エンジンがかかりにくく、調子が出るまでに時間がかかるタイプ。「能ある鷹は爪を隠す」じゃないですが、本来実力はあるのに、すぐに表に出し切れないままでいると、「ねぇねぇ、その爪いつ出すの?」ということになりかねません。
せっかく良い素質があるのですから、起筆(書き始め)も自信を持って思い切り良く、最初かパーン!と自分を表に出して書きましょう。

 

■全体的に字が小さい


慎重な性格の持ち主。または、何らかの理由で気持ちが萎縮していたり、自信をなくしていたり、疲れが出ている時期かもしれません。理性的で自分を抑えるクセがついていて、何かやらかして注意されるくらいなら、目立たずに大人しくしていようか…と思っている可能性も。とめ・はね・はらいも弱くなる傾向もあるので、一画一画書く度に、丹田に力を入れることをより意識しましょう。

 

■全体的に字が大きい


チャレンジ精神が旺盛ですが、後先考えない傾向が。思い切りが良いので、線質には勢いがありますが、はねが少々雑になりがちなのもこのタイプ。物事を始める前は、勢いに任せすぎず、周囲の状況を自分なりに少し整理して、一呼吸置いてからゆっくりスタートしましょう。内なるパワーは沢山ある人なので、最初から最後まで長く穏やかな力を出せるように意識しましょう。

 

■途中で諦めてしまう


完璧主義なところがあります。1ヶ所失敗してしまうと、もうこの結果はダメだと決め付けてしまって、勝負をしない傾向があります。まずは、結果はどうであれ最後まで続けることが大事。フィギュアスケートの選手がジャンプを失敗しても途中で辞めずに最後まで滑るのと一緒です。一度失敗したくらいで投げ出さず、平均値を上げていくことで結果を残すことも考えましょう。

 

筆には、などの動物の毛が3000本近く使われていると言われています。
書道は、これらの3000本もの毛を総動員して、太さ細さなどをコントロールし、色々なところに気を配りながら書く訳ですから、本当に大変な作業です。字の美しさを保つために、少々の失敗にも動じない心や、最後まで作品を書き続ける持久力などなど…身につけておきたいことは沢山あります。

書工房しら珠のレッスンでは、書く前にゆっくりと墨を磨る時間を設けています。これは、自分なりに気持ちを整理し、落ち着いた精神状態で字を書けるようにするため。墨を磨りながら仕事のグチが出てしまうこともありますが(笑)それもベストな状態で書道に取り組むための大切な準備だと考えています。

数年前から話題になっている、マインドフルネスや禅の思想にある「今、ここに集中する」ことで、自分がどんな感情を抱いているか、その心理状態などを観察することができ、ネガティブな感情に気づいて修正することもできます。
自分の感情を見つめることは、普段はつい見逃してしまいがちですが、この繰り返しが、心の安定や自分の本来の力を出すことにも繋がります。

私も、作品制作の時は、途中で「あ゛ーっ、違う!」と放り出したり、書いた字を見て「気持ちが全然入ってない」など良くやらかしているので、大それたことは本当に言えないのですが…。

日常生活において自分の力を100%出し切る訓練、自分の感情をコントロールする訓練には、やはり書道はオススメです。

その訓練は、書工房しら珠の「趣味・実用コース」と「趣味・創作コース」で!

書道教室〜趣味・実用コース/趣味・創作コース〜


美しきおひとり様、小野小町の歌を書く

今日は、しら珠の手習い「ひらがなで美しく書く百人一首講座」第1回。記念すべき初回は、小野小町。桜が散ったばかりの東京の今にぴったりな句を選びました。

 

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

 

桜の花が散って色あせていく姿と、自分の容姿の衰えを重ね合わせ、その憂いやむなしさを詠んだ歌です。

この句は、「修辞法」「掛詞」などが使われているのですが、

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※あー、古典の授業で習った!懐かしい!

 

何よりこの句がすごいのは、「自分のことを桜の花の美しさに例える自信」に尽きます。その自信、欲しい…。

小野小町の美しさがどのようなものだったのか、本当のところは謎で(30年位前の男性の「ソース顔」「しょうゆ顔」じゃないけど、時代によっても顔の美しさはトレンドもありますし)、平安時代は、歌が詠めるのが大事なモテ要素だったと言われています。

六歌仙の中での唯一の女性であった、人気歌人の小野小町が貴族社会の中でモテたのは当然なんでしょう。

 

というようなお話をしながら、次はひらがなの書き方の説明へ。今月のお手本はこちら。

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ひらがなはくずし過ぎず、実用的な場面で有効活用できるように、3~4ヶ所の連綿線のポイントを入れたお手本をご用意しています。

もし、連綿線美しい本格的な「かな」にチャレンジしたい方は、こちらのお手本もご用意。

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花の以ろ八 雲つり二介里奈 い多つら耳 和可美与二ふる 難可面せし万二

 

ここでちょっと寄り道。
この仮名は「変体仮名」を使っています。お蕎麦屋さんやうなぎ屋さんの読めない字、見たことありませんか?あれです。

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今は、一音で一字のひらがなが充てられていますが、昔は、一音で複数の字が仮名として使われていました。
例えば、今使われている「あ」は「安」が変形したものですが、昔は「阿」「悪」「愛」などが元になった「あ」もあったのです。

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ということで、本編に戻ります。

かなは、縦の線を美しく書くのがポイントなので、「の」「り」を繰り返す書く練習で、筆慣らしをします。

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コツは、肘を引きながら書くこと。

その後、いよいよお手本を見ながら練習です。

最初は、細い線をおそるおそる書いていた参加者の皆さん。徐々に書くスピードが上がり、リズム感も良くなっています。

おっかなびっくりでゆっくり書いていると、集中力が持たなくなり、下の句を書く頃には力尽きてしまったり、縦書きの流れが滞ってしまうので、ある程度のスピード感とリズム感はとても大事なんです。

かなに果敢にチャレンジしてくださった参加者の方も。

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初めてとは思えない、線の太細の表現!素晴らしいです!

・表現の幅が広いのが楽しい
・線が硬くなりがちなので、女性らしいしなやかな表現が出来るようになりたい
・変体仮名のことがもっと知りたい

などのご感想をいただいた今回の講座。

次回は、5月12日(土)13時~開催いたします。「小筆持って字を書くなんて何年もやってないわ…」という方も、筆の持ち方から指導いたしますので、安心してご参加いただけます。
お申し込み・お問い合わせは、こちらからどうぞ!

自分の引き出しからは、何を引っ張り出して使ってもいいじゃないか、人間だもの。

5月5日(日・祝)雑食系フリーランス及川智恵さん主催の「マジメなアソビ」に出展することになりました。

昨年、私は「マジメなアソビ」にふらっと遊びに行っていた側だったのに、今年は出展することになるなんて!

まさかのお声がけにビックリしたのですが、「新しいことに挑戦したそうなことがある」人に声をかけていたそうで。

 

んもう、智恵さん。
私が次の一手をどう打とうか…と悶々とした思いをキャッチしてくれている!何という絶妙なタイミング。

 

ということは、いよいよアレを試す時が来たってことだよ( ̄ー ̄)ニヤリ

 

1~2ヶ月ほど前から、SNSではこっそり実験的にアップしていた、

「誕生日から導く、あなたの味方になるインテリア書 ※ミニカルテ付き(仮)」

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※これは私の誕生日(1976年1月22日)から導き出した「色」「数字」「言葉」で作っています。

 

以前から、「書道」×「ホロスコープ」の掛け合わせで、何かが出来ないかなぁ…と思っていたのですが、やっと形に出来る時が!

 

私は、数年前に「人は千差万別である」ということを知るためのツールとして、ホロスコープの勉強し始めたのですが、始めてみたら、自分のことを知るのも本当に楽しくて(時には、大いなるガッカリも経験しましたが…)

「そりゃ人は全然違うもんだから、仕方ないよね」
「みんな違うから面白い、ってぇこともあるもんなんだね」

と、全力で肯きながら勉強を続けてきました。

 

元々は、自分を納得させるためだけの勉強だとしか思っていなかったものの、ホロスコープをやっているという話をポロッとすると、意外と面白がってくれる人もいるもので…。

ここ2~3年は、バーでお客様相手に占いさせてもらったり、こっそり占いのブログを上げていたり(今は閉じちゃいましたが)、ご要望があれば教室の生徒さんも見させていただいたりしていました。

 

自分の引き出しの中に知識として入れっぱなしで、取り立てて表に出さなくても…と引っ込めていたものでも、いざ表に出してみると、

「あら!あんな場面でもこんな場面でも役に立つの!?」

という経験が少しずつ増えたりして。

 

ということは、趣味だ仕事だと分けたりしなくたって、自分の中にあるものは何を使っても良いんじゃね?と思うようになり、今回チャレンジすることにしました。

 

今回のインテリア書は、ホロスコープとはちょっと違うアプローチですが、生年月日から導き出した「色」「数字」「言葉」で、あなただけのオリジナル作品を作ります。

 

これから数年間は、誰もが飛びつく万人受けするマス向けのものよりも、

「他の人がどう思おうと知ったこっちゃない」
「自分が好きなものは好きなんじゃ!」

というように、一見すると他人には理解されにくいもの、よりマニア度の高いもの、自分にだけ合うもので自分自身を満たすことがテーマになっていきます。

 

普段の居場所も、いかに自分が心地良い空間づくりが出来るかが大事になってくるので、そこに、自分を味方にできる作品を飾れたら最高なんじゃないか!?…と思っております。

 

事前のご予約は不要なので、ぜひ遊びにいらしてください!
インテリア書に関する詳細はこちら

 

また、開催時間中は、インテリア書制作に関わるセッション以外は、資料やら道具を色々持ち込んで、半分はアトリエにいる気分で、ただひたすら何かしら書いてると思います。

 

何を書くかはその日にならないと分からないですが、お茶飲みながら、私が書いている様子を見たり、作品についてあれやこれやお話する機会が出来たら良いなぁと思っています。

昨年はちょっと顔出したほんの短い時間でもたくさんの出会いがあって、レッスンに来てくださる方がいたり、作品を購入して下さったり…と、数珠繋ぎでご縁が繋がっております。

とても居心地が良い空間だったので、今年もそんな空間作りに貢献出来たら嬉しいです。

 

日時:2018年5月5日(土・祝)11:00~17:00
場所:レンタルスペース テポニティー
東京都世田谷区代田3-42-7 1階(小田急線 世田谷代田駅より徒歩5分、梅ヶ丘駅より徒歩7分、京王井の頭線 新代田駅より徒歩10分)
料金:入場無料(物販、セッション、ワークショップ等は有料)

参加方法:原則として申込不要です。お好きな時間にふらりとお越しくださいませ。
※一部セッションやワークショップは事前予約が必要な場合があります。