人生で初めて書いたお手本

書道教室を開業してから5年半。

生徒さんやクライアント様からの要望で、さまざまなお手本を書いてきましたが、先日体験レッスンにいらした方へ初めて書いたお手本がこちら。

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令和5年詠進歌(歌会始の儀で詠まれる歌)の応募書式の提出は何と毛筆必須!
しかも、よっぽどの理由がないと代筆も不可という細かい規定があります。

宮内庁が発表している歌会始の詠進要領(令和5年)が、こちら。


歌は早々に出来たけど、毛筆は未経験という生徒さん。
これから提出期限の9月まで、小筆をみっちり特訓です!!


当書道教室に入会された会員様には、一般的に手紙で使う時候の挨拶だけではなく、仕事やプライベートで実際に使う文章のお手本もお書きしています。

「応募書類が自筆なので、何とかキレイな文字で提出したい!」
「オフィシャルな場面で自筆の署名をしなければならず、困っている」

というお悩みをお持ちの方、まずは体験レッスンでご相談ください。

お問い合わせは、こちらのフォームからどうぞ!

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書いても手が疲れない!筆圧を弱めるトレーニング

ペン字のレッスンに来られる生徒さんの悩みで一番多いのが、筆圧が強くて、すぐに手が疲れてしまうこと。

これは、ペンを強く握りすぎたり、指で押さえつけすぎることで、手に余計な力がかかっていることが原因です。

当教室では、こんなお悩みをお持ちの生徒さんに、新たなトレーニングを実践してみました。

それは…

書道用の下敷き(またはフエルト)の上に半紙を置いて、ボールペンで字を書いてみる

実際にやってみました。

…そう、もう今年は半年ちょっとしかないんですよ、奥様…。

このトレーニングには、油性のボールペンを使うのがおすすめです。
(動画で使用しているのは、JETSTREAM 0.7mm・黒)

 

筆圧が強いと、ペン先がぶすぶす紙に刺さったり、紙が破けたり、穴が空いてしまって、まともに書けないという方も多いです。イライラしますよね…。


そこで。

その前段階として、筆圧を弱くするためのトレーニングをもう一つご用意しました。

それは…

ペングルグル、紙スリスリトレーニング(略称:ペングルカミスリ)。


デスクの上に置いた紙の上で、ペンをグルグルと走らせます。
紙に書くグルグルは、大きさが揃っている必要はありません。

大切なのは、字を書こうと考えずに、小指の外側~手のひらの側面を紙にくっつけてスリスリすることに意識を向けること。

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↑この赤い部分をピッタリ紙にくっつけましょう。

側面からの動画も撮ってみましたが、小指の外側~手のひらの側面がピッタリと紙にくっついているのがお分かりかと思います。肘をリズミカルかつスピーディーに動かすことがコツです。


 


このトレーニングは、小指側に力を入れて紙スリスリをすることで、書く時に力が入る場所を変えて、字を書く時に本来の力を加える場所を覚えさせるのが目的です。

筆圧が強くて悩んでいた当教室の生徒さんは、このトレーニングを自宅で実践し、箸の持ち方も意識した結果、筆圧の強さが軽減され、長時間字を書いても疲れなくなったとのこと。

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親指・人差し指・中指に力が入った状態で字を書くと、筆圧が強くなってしまいます。間違った力のかけ方をしたまま字を書き続けると、ペンだこが出来る原因にも…。

字を書く時に意識するのは小指です!

ペンだこに悩んでいる方、字を書き続けられない方、ぜひお試しください。


当サイト一番人気の記事。正しいペンの持ち方を紹介しています。合わせてご参照ください。

指が痛くならない!正しいペンの持ち方とブレない線の引き方


90分で必ず美文字に!ご自分のお名前を書く1dayレッスン。
7月は6日(土)、14日(日)、28日(日)、31日(水)に開催!

書道教室〜ペン字・筆ペン1DAYレッスン〜

『ひ』が上手に書けないのは『ひょうきん族』のせいなのか検証してみた

当教室の趣味・実用コースでは『ひらがな』に取り組んでいる生徒さんが非常に多いです。

文章を書くときに、ひらがなは文章全体の7割程度を占めるとも言われています。…ということは、漢字が多少アレでも、ひらがなをマスターすれば、手紙や文書全体の見た目が格段にアップするのです。

生徒さんは毎回、半紙に『いろはにほへと…』を小筆で練習して字形を把握し、形を覚えたら、連綿線(れんめんせん)が入った続け字を書く練習をします。

連綿線とは、文字と文字を結ぶ線のこと。
最近では、中谷美紀さんの結婚報告の達筆ぶりが話題になりましたが、あの文章で多く使われているのが連綿線。冒頭の『謹んで』の『ん』と『で』が繋がっていますよね?これが連綿線です。

本題に戻って…。

先日のレッスンで「ひ」を書くとどうしても縦長にベローンと伸びてしまうという生徒さんが、

「私が『ひ』を上手く書けないのは、小さい頃『ひょうきん族』を見すぎたせいだと思うんです!」

と真顔で言い出しました。

こちらが生徒さんが書いた『ひ』↓

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私も「オレたちひょうきん族」は毎週見ていました。当時、我が地元岩手県には民放が2チャンネルしかなく、1週遅れの土曜日夕方に放送してたっけ。(だから「8時だヨ!全員集合」との裏番組かぶりが無かった!)

タケちゃんマンとか、ブラックデビルとか、アダモチャンとか、ホタテのロックンロールとか懐かしい…。

番組ロゴも、フジテレビらしいポップな書体で、たしかに、特に強調された『ひ』が印象的でした。

…にしても。さすがに「そんなことはないでしょ!」と思いながらも、ネットに出ていた番組ロゴ画像を模写して…。

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本当に似ているのか検証してみました。

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「ほんまや!」と明石家さんま風に言いたいところだけど、そこまでは行かないか…。
生徒さんが書いた『ひ』と、番組ロゴの『ひ』は、左右対称感はあるものの、どちらも下にベローンと伸びていて、確かに生徒さんがひょうきん族のせいにするのも分からなくもない。

ひょうきん族の『ひ』になってしまうのは、下の部分がボテッとしてしまうのが原因。
ポイントは、下に向かってふくらむように書いて、一番下で一旦休む。
その後は上に跳ね上げるように早めにペンを動かしてあげると、形が上手くまとまります。

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私が思う『ひ』の見た目は、バナナの皮をむいて逆さにしたイメージです。

シュッとした『ひ』を目指して頑張りましょう!

 

苦手なひらがなを強化できます!日常生活に役立つ「趣味・実用コース」はこちら↓

書道教室〜趣味・実用コース/趣味・創作コース〜

【書道上達の秘訣】すぐに現場で使える「生きた練習」をする

私もその要素が非常に高めなので「類は友を呼んでいる」のだと思っているのですが、書工房しら珠のレッスンへいらしている生徒さんは、「何らかの沼」にどっぷりとハマっている方が多いです。

それが、モノであったり、スポーツ選手であったり、芸能人であったり、アイドルであったり、俳優さんであったり、ミュージシャンであったり…ジャンルは様々なのですが、「何かを(誰かを)とことん好きになる力」がとても高い方々。

「好き」という力はものすごいもので、「これがあるから頑張れる」というテッパンのようなものを皆さん結構お持ちになっていて、自分のテンションを上げるためのきっかけ作りが上手な方が多いような気がします。

書道のみならず、どの習い事もそうかもしれませんが、「自分がこうなりたい」というビジョンや目標が決まっているけど、そこに行くまでの過程を考えると、とてつもなく長い道のように思えて、ブルーなる…。

そんな気分になるのはとても分かります。苦手なものを克服するために教室に通っているのに、先生の手本や動きなどを見てしまうと、何だか出来る気が全然してこない…。目標設定が高くなりすぎて、どうやって一歩一歩克服したら良いか分からなくなる…でも上手になりたいし…と逡巡する訳です。

というモヤモヤを突破する方法はいくつかあると思うのですが、「好き」という想いを力に変えるべく、私は、市販されているペン字・筆ペン練習帳には絶対載っていない文例でお手本を作ることもしています。

だって、せっかく練習するからには、テンション上がるもの書きたいし、実践でも使いたいでしょ?

そのためには、私は、最高級の人参を全力でぶら下げます!
(=生徒さんのテンションが上がる、オリジナルのお手本をいくらでも書きます。の意。※但し、公序良俗に反しない範囲で)

ということで、実用書のレッスンでは、ご要望に応じて、好きな方のお名前や、ファンレターに使えそうな内容をお手本で書いたりもしています。

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このお手本は「行書」で書いています。
「行書」という言葉の響きは、書道を長い間やってきた人でないと耳なじみがないし、日常生活では書くことがないんじゃないか…と思うかもしれませんが、ちょっとしたメモ書きの時にもササッと使えて、意外とラク。

きへん(木)、のぎへん(禾)、さんずい(氵)、やまいだれ(疒)などは、日常でも意外と使うことが多いと思うのですが、形を覚えてササッと書けると時間短縮になるだけではなく、字が大人っぽく見えるので、覚えていて損はない書体です。

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生きた練習をすること、すぐに現場で使うことが、書道上達の秘訣の一つです。

あなたの気分が上がる、オリジナルのお手本で楽しく練習してみませんか?

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美しきおひとり様、小野小町の歌を書く

今日は、しら珠の手習い「ひらがなで美しく書く百人一首講座」第1回。記念すべき初回は、小野小町。桜が散ったばかりの東京の今にぴったりな句を選びました。

 

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

 

桜の花が散って色あせていく姿と、自分の容姿の衰えを重ね合わせ、その憂いやむなしさを詠んだ歌です。

この句は、「修辞法」「掛詞」などが使われているのですが、

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※あー、古典の授業で習った!懐かしい!

 

何よりこの句がすごいのは、「自分のことを桜の花の美しさに例える自信」に尽きます。その自信、欲しい…。

小野小町の美しさがどのようなものだったのか、本当のところは謎で(30年位前の男性の「ソース顔」「しょうゆ顔」じゃないけど、時代によっても顔の美しさはトレンドもありますし)、平安時代は、歌が詠めるのが大事なモテ要素だったと言われています。

六歌仙の中での唯一の女性であった、人気歌人の小野小町が貴族社会の中でモテたのは当然なんでしょう。

 

というようなお話をしながら、次はひらがなの書き方の説明へ。今月のお手本はこちら。

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ひらがなはくずし過ぎず、実用的な場面で有効活用できるように、3~4ヶ所の連綿線のポイントを入れたお手本をご用意しています。

もし、連綿線美しい本格的な「かな」にチャレンジしたい方は、こちらのお手本もご用意。

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花の以ろ八 雲つり二介里奈 い多つら耳 和可美与二ふる 難可面せし万二

 

ここでちょっと寄り道。
この仮名は「変体仮名」を使っています。お蕎麦屋さんやうなぎ屋さんの読めない字、見たことありませんか?あれです。

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今は、一音で一字のひらがなが充てられていますが、昔は、一音で複数の字が仮名として使われていました。
例えば、今使われている「あ」は「安」が変形したものですが、昔は「阿」「悪」「愛」などが元になった「あ」もあったのです。

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ということで、本編に戻ります。

かなは、縦の線を美しく書くのがポイントなので、「の」「り」を繰り返す書く練習で、筆慣らしをします。

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コツは、肘を引きながら書くこと。

その後、いよいよお手本を見ながら練習です。

最初は、細い線をおそるおそる書いていた参加者の皆さん。徐々に書くスピードが上がり、リズム感も良くなっています。

おっかなびっくりでゆっくり書いていると、集中力が持たなくなり、下の句を書く頃には力尽きてしまったり、縦書きの流れが滞ってしまうので、ある程度のスピード感とリズム感はとても大事なんです。

かなに果敢にチャレンジしてくださった参加者の方も。

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初めてとは思えない、線の太細の表現!素晴らしいです!

・表現の幅が広いのが楽しい
・線が硬くなりがちなので、女性らしいしなやかな表現が出来るようになりたい
・変体仮名のことがもっと知りたい

などのご感想をいただいた今回の講座。

次回は、5月12日(土)13時~開催いたします。「小筆持って字を書くなんて何年もやってないわ…」という方も、筆の持ち方から指導いたしますので、安心してご参加いただけます。
お申し込み・お問い合わせは、こちらからどうぞ!